【松葉ガニの主な産地とおいしい食べ方】
【松葉ガニってどんなカニ?】
松葉ガニとは、山陰地方で獲れるズワイガニのオスのことを指します。福井県沖で揚がるズワイガニに「越前ガニ」というブランドネームがつけられるのと同様、山陰で獲れるズワイガニに対して「松葉ガニ」というブランドネームが冠されます。
固い甲羅とずっしりとした身が特徴で、繊細ながらも蟹の旨味が凝縮された身は絶品です。
オスのズワイガニを「松葉ガニ」と呼ぶのに対して、メスは「親ガニ」という名称で親しまれています。オスのズワイガニに比べてメスは半分以下の大きさと、ずいぶん小ぶりになります。しかし、メスならではの「外子(蟹の受精卵)」や「内子(蟹の卵巣)」や濃厚な身の味わいは決してオスにひけをとりません。松葉ガニと比べて値段もずいぶんお手頃であるため、地元家庭の食卓によく登場し、親しまれる蟹です。
【松葉ガニの主な産地】
「松葉ガニ」と呼ばれるためには、山陰沖の海で漁獲されることが必須条件です。兵庫〜鳥取の漁港が主な水揚げ港となり、特に兵庫県の香住、京都府の間人、鳥取県の境港などが有名です。
漁期は9月上旬から3月にかけて。それぞれ漁港ごとに識別用のタグをつけ、厳重な品質管理を行っています。
【シンプルにうまみを味わう 松葉ガニのおいしい食べ方】
松葉ガニの身の美味しさは一級品。それゆえに、松葉ガニが本来持っている味を邪魔しない、シンプルな味付けと調理方法が好まれます。
最もポピュラーな食べ方は「茹でガニ」。水揚げされたばかりの活松葉ガニの浜茹では、時々によって微妙に変化する蟹の塩気に合わせた絶妙な塩加減に職人の技が光ります。
また、同じくシンプルながらも茹でガニとは異なる味わいの「焼きガニ」も人気の食べ方です。食べやすく切り込みを入れた蟹を豪快に焼き上げるという典型的な漁師料理です。焼く事によって甲羅のこうばしい香りが強調され、水分が飛んだ蟹の身は味が凝縮されてホクホク・ほろほろとした口当たりとなります。
その他にも、厳冬に好まれる蟹鍋や蟹すき、新鮮な松葉ガニの入手できる漁港周辺地域では刺身として食べられることもあります。
松葉ガニと違って親ガニは小ぶりで食べにくいという問題があるため、こちらは他の料理の味わいを深める役割を担う事が多いようです。特に、親ガニを使って作られる伝統的な「蟹汁」は捨てがたい味わいです。
親ガニをぶつ切りにし、短冊切りにした大根と共に味噌汁にするというシンプルな家庭料理です。親ガニの身や殻から蟹の香りとうまみが溶け出し、蟹味噌が濃厚な甘みとコクを加えます。
親ガニのうまみをたっぷりと吸ったトロトロの大根、磯の香りを閉じ込めたような汁、柔らかくほどける親ガニの身、これらが渾然一体となった深い味わいは土地ならではの味覚と言えるでしょう。
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